夫が台湾にはまったきっかけ。
それは二回目の台湾旅行で台南にあるLento Hostel に泊まったことでした。
一度目は台北のみをうろうろしてそれはそれで楽しかったのですが、どうも台湾には「食は台南にあり」「台南を知らずして台湾を語るな」という言葉があり、本当に美味しいものは台南にあるらしい。
また台北は冬は気温がけっこう低いこともあるけれど台南は常に暖かく、果物も安くて美味しい。
そう聞いて、訪ねてみようと思ったのです。
泊まるのはいつも通り安いところ、食事は外であれこれ食べたいから素泊まりでよくて、でも清潔なのがいいし、あまり不便なところだと観光しづらいし…
そんな面倒な条件をクリアする施設を見つけるのは毎回大変なのですが、リサーチが大好きな夫が見つけたのがこのホステルでした。
「ここ、絶対いいよ!!」

訪ねてみたら若い男女、BくんとIさんがマネージャーをしていて、Iさんは英語も喋れます。
当時は夫も中国語がしゃべれなかったので、英語ができる方がいるのは助かりました。
お手頃価格なのに部屋は広くて清潔、シャワーとトイレはもちろん、スピーカーもある(持参のポータブルCDプレーイヤーを接続できます)。
フロントに行くと二人がきさくに近場の美味しい店や観光スポットを教えてくれる。
壁いっぱいにBくんが描いたという台南の地図が書いてあり、それを示してくれるので初めてでもわかりやすかったです。

ホステルからは徒歩で行ける店やマーケットがあってすごく便利だし、少し遠い場所もタクシーが安いから躊躇わず使えます。
また台湾はレンタサイクルが発達しているので、自転車であちこちめぐるのも楽しかったです(楽しかったのは事実ですが、体力のない私はけっこう疲れもしました…と正直に書いておきます)。
 
あちこち食べて回りましたが「食は台南にあり」は本当で、どこに行ってもはずれがなく美味しく、また台北よりもずっと安い。
台南名物の小粒の牡蠣を使った「牡蠣オムレツ」には感動し、リピートしてしました。
果物は冬でも沢山売っていて(もちろん夏の方が多いのですが)、濃くて甘い、そして驚くほど安い。
私達は中でも特にパッションフルーツ(百香果)にはまり、山のように買ってはホテルの冷蔵庫で冷やしてもらい、ナイフとスプーンも借りて夜な夜な食べ続けました。
毎日食べても飽きない美味しさです。好きすぎて、一時は東京でパッションフルーツ栽培ができないかとまで真剣に考えました(気候的に難しいようです)。
ちなみに台湾の方に「パッションフルーツ美味しいですよね!」と興奮気味に伝えても「うーん、他にも美味しい果物はいっぱいあるよ?」 という感じで、あまり感動を共有できません。「それより日本のリンゴを食べたいなあ」と言われたりして、しあわせの青い鳥は昔も今も旅人の方が見つけやすいのかも…などと思いました。
台南は食べ物だけでなく風光明媚な観光地もあり、街並みは趣があり、人がやさしく、動物がうろうろしていて(野良犬も野良猫も大概可愛がられていて、そこここで平和的にぶらぶらしています)、何日いても飽きない魅力が溢れていました。

「はじめての台南、本当に楽しかったね…」
あちこちを効率よく巡れたのはマネージャーの二人のお陰であり、チェックアウトの時に感謝を込めて
「ありがとう。楽しい結婚記念日になりました」

とメッセージを残してホステルを後にしました(私は何かと書き付けるのが好きなのです。日本語と英語で書きました)。
タクシーに乗るのももったいなく、駅までぷらぷらと散歩することにします。市場を見た後、「そういえば台湾名物のかき氷を食べていなかったね…」と道端でかき氷を食べていたら、Bくんが手を振りながらバイクで近づいてきました。
あら、忘れ物でもしたかしら…?
すると満面の笑顔で袋一杯の焼き菓子を渡され
「台南クッキー!!」
私の書き置きを持ってきていて、指をさし、結婚記念日でしょ、と。
彼は英語をほとんど話せないので、身振り手振りで「あちこち探したよ~」と笑っていました。
チェックアウトしてどこにいるかも分からないのに、わざわざ台南名物のお菓子を買って、そしてあちこち私達を探してくれたなんて!!
夫も私も泣きそうになり、夫はお菓子と彼の写真を撮りまくり、しかしBくんはHostelを長く留守にもできないのですぐにお別れしなければならず…
Bくんはバイクに乗ると手を振って去っていきました。
夫はしばらく無言で手を振っていましたが
「台湾人、やばいわ~。俺、またここに来るわ…」
こうして台湾にハートを鷲掴みにされた私達は、頻繁に渡台することになります。
またこの数か月後から、夫の中国語猛勉強もはじまりました。

ちなみにこのエピソードを日本で働く日本語ぺらぺらの台湾人女性に話したら
「台湾人がみんなこうではないです。台湾人がやばいというより、この人(Bくん)がやばい」
仰っていて、非常に納得するとともに彼女の日本語のセンスに頭が下がりました
夫が中国語をはじめたことで、芋蔓式にすごい言葉の使い手との出会いが重なり、そんなこんなで私も改めて英語を勉強しはじめることになりますが、それはまた別の話…。
 
夫とBくんの友情は渡台のたびに深まり、私達はもはや台湾の「ただの通りすがり」にはなれなくなっていました。

台南クッキー、素朴な伝統菓子。美味しいです。

■ まとめ
台南駅から徒歩15分ほど(タクシーなら1メーターほど) の宿泊施設。
2022年現在、英語のできるIさんは退職しましたが、Jちゃんという英語OKの女性がいます。
Bくんもこのあとポケトーク(翻訳機)を導入し、言葉の壁は低く薄くなっています。
台湾は漢字文化ですから(そして簡体字でなく繁体字なので)、筆談でもかなりコミュニケーションできます。小さなノートを携帯していると便利です。
フロントで住所や連絡先が書いてあるカードをもらっておけば、いざという時はタクシーでそれを見せれば帰ってくることが出来ます。
 
パッションフルーツ(百香果)は「しわしわで重いもの」が美味しいです。
つるんとしているのは、きれいですが旨味がいまいち。
最初はお店の人に美味しいものを選んでもらいましょう(中国語ができなくても、「どれがいいのかな、うーん???」 と悩んでいると大概助けてくれます)。
レンタサイクル
台湾の交通カード(Suicaみたいな悠遊カード)、あるいはクレジットカードがあれば誰でも使えます。
有料ですが、タクシーやバスよりもお得です(自治体によって料金体系が微妙に違います)。
この記事の時はコロナの気配はなくておおらかに使っていましたが衛生面が気になる場合はアルコール消毒できるウェットティッシュのようなものがあると安心かも。台湾はドラッグストアやコンビニも多いので消毒グッズも現地調達できます。
https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0029172

ご参考までに現地の方が見る中国語のサイト
https://www.youbike.com.tw/region/main/