真っ暗な中をそこそこ揺れながら10分ほど走り続けて、 バスが止まりました。
どうやら、ここが山頂みたいです…。
日の出が近いので少しずつ明るくなってきましたが、 まだまだうすぐらい中に、温かい色の電灯が…
こんなところにも軽食を売っている店が数軒あります。
湯気がもうもうと立っていて、広東煮(おでんのようなもの) を売っているようです。
あ、ドリンクもありますね。
飲むかな? 食べるかな? と夫を振り返ると
「寒い、とにかく座らせて。ほんと死にそうだ」
と真っ青に顔をしています。今は飲み食いは難しそう…。
店があるということは…
「ここに診療所はありますか? 」
とお店の人に聞いてみましたが、英語はNGというジェスチャー。
医師や診療所という中国語は分からないし、筆談しよう… とノートを取り出そうとしたら
Jちゃんが「これどうぞ~」
と熱いお茶を買ってきて、渡してくれました。
「あたたまってね。ここに診療所はないけど、 下の方の店が開いたら、薬が買えるみたい」
何から何までありがとう!
とにかく夫の座るところを探し、お茶を飲んでもらいます。
日の出が近いので少しずつ明るくなってきましたが、
こんなところにも軽食を売っている店が数軒あります。
湯気がもうもうと立っていて、広東煮(おでんのようなもの)
あ、ドリンクもありますね。
飲むかな? 食べるかな? と夫を振り返ると
「寒い、とにかく座らせて。ほんと死にそうだ」
と真っ青に顔をしています。今は飲み食いは難しそう…。
店があるということは…
「ここに診療所はありますか? 」
とお店の人に聞いてみましたが、英語はNGというジェスチャー。
医師や診療所という中国語は分からないし、筆談しよう…
Jちゃんが「これどうぞ~」
と熱いお茶を買ってきて、渡してくれました。
「あたたまってね。ここに診療所はないけど、
何から何までありがとう!
とにかく夫の座るところを探し、お茶を飲んでもらいます。
私も隣に座り、お茶の缶を開けます。
さて落ち着いて…こういう時は悪い方の想定も必要です。
このままこの人の体調が悪化するなら、日の出を見て(
Bくんに最寄りの病院に連れて行ってもらう必要があります。
彼らはホステルの仕事があるから長居はできません。 ここにはホステルのほとんどのスタッフがいるのだから。
場合によっては阿里山のふもとでおろしてもらい、 そこからタクシーか。
場合によっては阿里山のふもとでおろしてもらい、
と考え始めたところで…
「あ、私達無保険だった!!」
と気づいたときの衝撃!!
気付いたというか、 あまりにもいろいろあってすっかり忘れていましたが、 私達は成田で旅行保険の手続きができなかったのでした。
気付いたというか、
あーー。
…まあ、カードの付帯保険はあるけど…。
…まあ、カードの付帯保険はあるけど…。
いろいろな心配はありますが、今はとにかく、命が大事。
二人とも生きて帰国、これが達成できれば100点としましょう。
病院は英語が通じるはずだし、ネット環境も整備されているはず。普通はクレジットカードも使える。
あ、帰国を早める可能性もあるから…
私がぐるぐると考えている間、夫はちびちびとお茶を飲みはじめ、 すると荒かった呼吸は少しずつ落ち着いてきました。
二人とも生きて帰国、これが達成できれば100点としましょう。
病院は英語が通じるはずだし、ネット環境も整備されているはず。普通はクレジットカードも使える。
私がぐるぐると考えている間、夫はちびちびとお茶を飲みはじめ、
するとそこに先ほどの目出し帽のおじさんが。
夫に何か話しかけています。
心配して来てくれたんですね…。どうもありがとう。
夫は「良くなってきたから大丈夫」 となんとか笑ってみせています。
心配して来てくれたんですね…。どうもありがとう。
夫は「良くなってきたから大丈夫」
端から見ていて、 元気がない人が元気を振り絞って作る笑顔ほど人を不安にさせるも のはないな…としみじみ思いましたが、
おじさんは状況を察して「分かった!! 無理すんな!」という感じで手を振って去っていきました。
Jちゃんの熱いお茶が効いてきたのか、 だんだん夫の頬に赤みが戻ってきました。
Bくんやスタッフさん達はそれぞれ売店で食べ物を買ってきたよう で、湯気をもくもくあげて熱い広東煮を食べています。
Bくん、ものすごい勢いで大量に食べていますね。 運転で疲れているものね、ありがとうね…
私達を見ると日本語で
Bくん、ものすごい勢いで大量に食べていますね。
私達を見ると日本語で
「おいしい、しあわせ」
と笑ってくれました。
彼が夫を心配しすぎないのも有難いです。
私は持ってきたパンを彼らに上げました( 彼らの分も買ってあったのです)。
それもパクパク食べてくれて嬉しい。
私は持ってきたパンを彼らに上げました(
それもパクパク食べてくれて嬉しい。
彼らのお陰で、私のメンタルも落ち着いてきました。
夫のことで周囲をあまり見まわしていませんでしたが、 山頂が少しずつ明るんできて、 ここが小さな公園のような場所だと判ってきました。
夫のことで周囲をあまり見まわしていませんでしたが、
少し進むと断崖? のようですが、危ないところはすべて頑丈な柵がしてあり、 安全そうです。
柵の向こうから陽が登るようですが、 その柵の前で先ほどからおじいさんが大声で何かしゃべっています 。
Jちゃんが
「あのおじいさんは阿里山名物です。冬でも夏でも、 毎朝ここにきてみんなに阿里山の歴史を話しています。 とても元気です」
中国語なので全く分かりませんが、 何回も話してよく練られたストーリーであることが伝わってきます 。名調子なのです。
観光客は現地の人が多そうな中国語チームと、 見るからに海外から来たであろう英語チームとなんとなく二つに分 かれています。
中国語チームはおじいさんのお話を聞いていて、 たまに拍手して盛り上がっています。
「あのおじいさんは阿里山名物です。冬でも夏でも、
中国語なので全く分かりませんが、
観光客は現地の人が多そうな中国語チームと、
中国語チームはおじいさんのお話を聞いていて、
英語チームは「残念だけど分かんないし…」という感じで、 おじいさんはスルーしてどんどん明るくなる山を指さし
「あ、あっちが一番明るいね。 きっとあそこから日の出が見えるよ」
「あそこに注目だね。早く出てこい~」
みんなで同じ方向を見ています。
…うーん、 解説のお爺さんの示す方向と英語チームの注目ポイントの方向がど うも違う感じがするけど…
まあ普通に考えたら明るい方だよね… 私もぼんやりと明るい方を眺めていました。
「あ、あっちが一番明るいね。
「あそこに注目だね。早く出てこい~」
みんなで同じ方向を見ています。
…うーん、
まあ普通に考えたら明るい方だよね…
かなり明るくなってきたけど、まだかな~と思っていたら
Jちゃんが肩をたたいてくれ
「寧子、こっちだよ!! 日の出よ!」
え、あ、そっちだったの?!
え、あ、そっちだったの?!
英語チーム全員がずっこけています。
雲の具合もあってか、 あまり明るくないところから突然陽が登って来たのです。
中国語チームはお爺さんの説明もあり、 皆さんその方向を見ていたようですが…
それにしても、本当にきれい。
それにしても、本当にきれい。
きれいというか、神々しい!!
夫の肩をつつくと
「大丈夫。見てる、見てるよ…」
あんた、生きて阿里山の日の出が見られて良かったね!
「陽が出てきたら、急にあったかくなってきたみたい…」
夫の瀕死だった瞳に徐々に光が戻ってくるのがわかります。
太陽がこんなに嬉しいなんて、 こんなにもお日様の有難みを感じたのは生まれてはじめてかもしれ ません。
太陽がこんなに嬉しいなんて、
そこにいる全員が、夢中で写真をとりまくっていました。
続く
まとめ
■旅先で突然お金が必要かも…という時にクレジットカードが使えると安心です。
普通にクレジットカードと言えば通じることも多いですが、中国語だと
「信用卡」これを知っていると便利です。
普通にクレジットカードと言えば通じることも多いですが、中国語だと
「信用卡」これを知っていると便利です。