昨日は定休日。
二子玉川に朝9時20分からの「ファースト・マン」を見に行きました。
https://firstman.jp/

「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングだから混んでいるかも…と思いきや、開始時間のせいもあるのでしょうが、席はガラガラ。
宇宙ものではあるけれど、地上での話が多くて地味…という噂のせいか、すごく静かです。
私自身は人混みで気持ちが悪くなるタイプなので、映画館には悪いですがかなり嬉しいコンディション。

物語がはじまると同列にいたおじさんはいびきをかいて眠りはじめました。
そして起きる気配なし…。確かに、とても静かな映画なのです。
月にはじめて立ったニール・アームストロング船長は、仕事への情熱はすごいけれど、穏やかでどちらかというと内向的な性格。
物語も宇宙を目指す家族の葛藤(危険と隣り合わせで、実際死者が沢山出る任務。妻子は気が気ではありません)、同僚同士の切磋琢磨や友情(危険だけど、それでもクルーに選ばれたい。でも全員が選ばれるわけじゃない)、という人情ドラマ。
「ゼロ・グラビティ」のような息を飲むような美しい宇宙の映像なども、少なめ。

でもだからといってつまらないわけでは全然ないのです。
まず忠実な再現を目指したという「当時のロケット」の中古車感。
とにかくぼろい感じに驚きます。
これはあとから調べましたが、その時点でコンピューターらしいコンピューターは無く、搭載していたのもファミコンレベルの機器だったとか。
実際船内でトラブルがあると、アームストロングは紙と鉛筆で手計算…。
人間ってすごい…!
というか、そんなに無理しないでもいいのにとすら思える。
そこはソ連との宇宙開発競争に負け続けていたアメリカの背水の陣な雰囲気もあるのだと説明されています。
(一方で盛り上がりを見せる公民権運動も描写されており、黒人達が「俺達が死ぬほど貧しいのに、巨額の費用を投じて白人が月へ行く」とラップ風に訴えているシーンも。
これは現在も変わらない問題なんですよね…)

結局彼は月に行くのだし…と結末は世界中が知っているわけですが、
月に行ってからの見せ場もしっかりあり、私は全編楽しめました。
深海の素潜りで有名なジャック・マイヨールが「私は海になった(からあそこまで潜れた)」といい、エベレストなどの高山を制覇したメスナーも「私は山になった」と同じようなことを言っているのを思い出しました。
アームストロングは静かで思慮深くて、そして常に死を思っていたから月が受け入れてくれたのかも…

帰り道、夫は
「いい映画だったな~。とはいえ、本当に月に行ったのかな~」
と言っていましたよ(笑)。